琵琶湖には、水中ですごす魚や貝などに加え、水上にみられる鳥類や昆虫も数多く生息し、そして、それらのすみかともなる植物が繁殖しています。
鳥類
滋賀県には約340種の鳥が記録されています。日本で記録された鳥類は633種であるため、国内の種の半分以上が滋賀県内でも記録されていることになります。
琵琶湖と西の湖は国際的に重要な湿地としてラムサール条約湿地に登録されています。その登録基準の1つに「水鳥の個体数2万羽以上」がありますが、冬季の琵琶湖には、その数をはるかに超える10万羽以上の水鳥が採食・休息するなど、水鳥等にとって重要な生息地となっています。
昆虫
琵琶湖の特徴の一つが湖岸に生息する昆虫の多様さです。湖岸に広がるヨシ帯では、ヨシを食べるアブラムシや、それらを食べるトンボやテントウムシが生息するなど、独自の生態系が出来上がっています。
滋賀県には、日本にすむ約半分の種(100種)のトンボが確認されています。県単位で見ればその種数は日本の中でトップクラスです。琵琶湖には多くの流入河川があり、水環境が豊かであるため、水辺での生活に適応するトンボの種が豊富なのです。
植物
琵琶湖には、クロモなど全体が水中にある水生植物や、ヨシなど水面の上に茎や葉を伸ばす抽水植物が繁殖し、水中への酸素供給や、多様な生き物の産卵や生活の場となっています。
琵琶湖のヨシ帯は、以下のような役割を果たしています。
湖国の原風景を象徴する景観の形成、環境学習の場
四季に応じて姿を変えるヨシ帯は、湖国の原風景を象徴する景観を形成し、文化的・社会的な価値を持っています。また、生き物の観察会など、環境学習の場としても活用されています。
鳥類・魚類などの生息・繁殖の場、希少な氾濫原植物のゆりかご
ヨシ帯は、鳥類・魚類をはじめ多様な生き物のすみかになっています。また、ヨシ帯では、季節の変化や天候によって水位が上下することから、水に浸かる時期と浸からない時期ができ、そのような土地に適した希少な氾濫原植物が生き残っています。
ヨシ産業や暮らしを支えてきた資源の供給
ヨシは、かつては生活に欠かせない重要な資源として利用されていました。現在でも、琵琶湖地域は、国内に残る二大ヨシ産業地の一つであり、夏期に日射をさえぎるためのヨシズなど、多くの加工品を生産しています。
ヨシを使用した製品(ヨシズやヨシ葺き屋根)このページは、2018年3月に滋賀県が発行した「びわ湖を学ぼう」(琵琶湖ハンドブック概要版)を一部修正して掲載しています。一部の画像は琵琶湖博物館提供。
原文はこちら(URL:/ippan/kankyoshizen/biwako/11346.html)
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